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『日本幻想作家名鑑』趣意書

『日本幻想作家名鑑』趣意書

『日本幻想作家名鑑』趣意書


*基本方針

日本幻想作家名鑑』は、日本における怪奇幻想文学の作家事典として企画されたものである。

 古代から現在(2007年)までに、日本で幻想文学関連の小説、戯曲、詩歌などの創作を発表した文学者を主たる対象として編纂するものである。

 古典文学に関しては、作者名の知られていない場合も多く、その場合は一般の文学事典同様に、原則として作品単位で取り上げる。伝・××の類は、古典文学界の動向に関わり無く、人口に膾炙している場合はその作者名を挙げ、注記を施す形で、作品を紹介したい。また、作者不明の御伽草子、謡曲、黄表紙など、個々に取り上げていては収拾のつかないものに関しては、「御伽草子」の項目によってまとめて解説する。

 また、評論家・研究家・エッセイストについては、原本では収録を断念したが、今回は、一部を取り上げることにした。その対象は、怪奇幻想文学プロパーの評論集、エッセイ集、研究書の著作を持つ文学者である。取捨選択に恣意性が生じる余地はあるが、完全に未掲載であるよりは、読者の便となるであろうと信じる。

*執筆概要

 幻想文学というジャンルをどのように定義づけるか、いまだ定説はないに等しいが(と16年前に東は書いているが、今でもその状況は変わらないだろう。ただし漠然たる印象は持たれるに到ったのではないかと愚考する)、本名鑑では恣意的・一面的な限定づけの弊を免れるべく、〈超自然的・非現実的な事象を主要なモチーフとする文学作品〉という広義の解釈のもと、いわゆる怪奇幻想小説やメルヘン、ファンタジー、ホラー、伝奇小説、さらにはSF、ミステリー、時代小説、冒険小説などとの境界領域に位置する作品までを、アダルト・ジュヴナイルの別なく対象としている。また、項目執筆者が抱く幻想文学観の相違から、各項目の記述や取捨選択に混乱が生じることを避けるため、多人数による分担執筆性を採らず、「幻想文学」誌の編集作業を通じて、ほぼ共通した幻想文学観を有する東と石堂の二名によって編纂執筆の大部分を行う。この点にはほぼ変わりがない。

 増補分に関しては、石堂藍が中心的に執筆し、東がそれをチェックするという形で、進めている。最終的な文責は、二人にある。

 各項目の執筆に際しては、幻想文学関連の業績に重点をおいた記述を心がけ、個々の作品内容についても具体的に言及するよう努めている。現時点で調査の及ぶかぎりの作家を収録する方針で臨んでいるが、事典という性格上、行き届かないことは充分に予想される。同好の士のご助言、ご協力をいかなる点においても切望する次第である。

*付録

 名鑑本文とは別に、以下の付録を掲載予定である。

 1 アンソロジー・リスト

 書籍単位で収録作一覧を作成予定。一部に怪奇幻想ものを含むものは取り上げない。個人アンソロジーについても掲載したい。

 ★作品索引を作り、短篇などはアンソロジーのナンバーで収録書を確定できるようにする。このようにすれば、どの作品がどこで読めるかがすぐにわかるだろう。ただしなおかつ漏れるものもある。『幻想文学』に掲載しただけのもの、一部に怪奇幻想ものを含むアンソロジーにのみ掲載されている場合。

 ★作品索引は膨大なものになるはずなので、掲載できない可能性もある。その場合は、電子データの可能性もある。

 2 活字外の資料

 マンガ、テレビ、映画、ゲームでそれぞれ個別に資料を作成する。怪奇幻想文学の進展を考える上で、他メディアの影響は抜かせない問題である。本名鑑は、〈怪奇幻想物〉の集約を目指すわけではなく、あくまでも活字の日本の怪奇幻想文学の集約を目指しているので、参考資料として、怪奇幻想文学に与えた影響という視点から、他メディアの作家・作品をあげておきたい。

 マンガは作者別リスト。怪奇幻想文学の視点から見た重要作については名鑑本文のような形で解説を入れたい。重要作についての意見も識者(誰かは不明)にうかがう。

 テレビ・映画はアニメ、特撮、ドラマに分ける予定。基本的に忠実さのある原作ものは取り上げず、日本物の場合は本文の方に資料として書き入れることにしたい。

 ゲームはライトノベルとファンタジーの世界に大きな影響を与えている。ゲームそのもののガイドというより、怪奇幻想文学への影響という視点から概説する。TRPGのシナリオ、カードゲームなども含む。

 これら活字外資料は網羅を目指さず、また、精密なデータ(詳しい脚本家名や各話タイトルなど)を掲載しない。取り上げる基準としては、世代的に影響を与えている、ということなどが指標となる。

 3 年表

  小説のほか、さまざまなメディアの超重要作がだいたい年ごとに一目で見渡せるものを考慮中。きわめて重要と思われる翻訳、海外メディア(日本公開日、テレビ放映時)も入れたい。

*凡例

配列は姓名のよみがたの五〇音順。

各項目は基本的に以下の形式で構成されている。

姓名(よみがな生年〜没年)本名・別名等。出身地。経歴。作風・作品解説等。

なお、特に重要な作品については、各項目の最後に別立てで取り上げ、内容等の説明を加えた。

年代表記は原則として西暦に統一し、古典に関しては年号を併記の予定である。

地名・学校名等は原則として当時の名称に従う。ただし旧帝国大学名については現在の呼称で統一している。

文中、作品名・誌名は「」で、著書名は『』で、シリーズ・叢書名は《》で表示する。作品名に続く()内の数字は初出年を、著書名とシリーズ・叢書名に続く()内の数字は刊行年を示す。さらに書籍の場合、読者にわかりやすいように、レーベル名をあげることを考えている。ノベルスなどはレーベル上では異なっても、ノベルスで統一するだろう。

語句の引用等は〈〉で表示し、詩歌の引用中の/は原文における改行を、//は行空きを示す。